経営の3つの視点 人間観

経営というものは人間と人間が行なうものですから、人間に対するしっかりした見方を持つ必要が出てきます。

(1)倫理観経営理念の中で、とくに大切だと思う内容は「倫理観」(ethics:エシクス)です。言葉を変えると、「人として正しいことをする」といえます。たとえば、「自分の胸に手を当ててみる」「自分の心に聞いてみる」「お天道さまが見ている」といった表現にあるようなものです。経営理念の一番のおおもとになるものがこの倫理観ではないかと思います。なぜなら、いくら経営理念をつくり、さらに細かい規則で社員を縛ってもこの倫理観がなければうまくいかないからです。

ドラッカーは「高潔さ」(integrity:インテグリティ)が経営のトップには必要だといっています。また、高潔さだけではなく誠実さ、正直さ、勇気といったものも必要になってくると思います。

「人はウソをつく、ズルくて、弱くて、卑怯だ、だからこそ倫理観を持つことが大切だ」
「人は一長一短だ、人は一人でできることは限られている、だからこそ助け合うことが大切だ。人は成功するとすぐに傲慢になる、だから謙虚にすることが大切だ」

こういった価値観、人間観も、経営をするうえで必要なのです。

(2)幸福観社員の物心両面の幸福を追求するとしたら、いったい人は何に幸福を感じるのだろうかと、価値観を持たなければならなくなります。たとえば、「社員の給料はいくらにしたらいいのだろうか?」と社長になれば悩みます。多くの社員は「お金のために働いている」と思っていますから、社員にとっては給与は一番の関心事です。ですから、理念=考え方が必要になるのです。

給与は上がればうれしいし、下がればうれしくない。どんなに高くなってもうれしいのはそのときだけで、上がればそれが当たり前になり、感謝しなくなります。いくらもらおうが、いつでもどこかに不満を持っているものです。そして、人と比較したくなる。他人の給与が気になる。同僚がいくらもらっているのか、他社はどうなのかと気になる。

これは給与に関する一つの見方でしかありません。しかし、こういった人間心理を理解したうえで、人の幸福観を考え、経営理念に反映させてゆく必要があるのです。「給与は業界平均の10%上を目指す!」を経営方針にする会社もあります。これは立派な価値観であり、経営理念といえます。

(3)死生観「経営者は経営に身を捧げなさい」(宗次德二/カレーハウスCoCo壱番屋創業者)
「命をかけるくらいの責任感で毎日を生き、その姿勢をどのくらいの期間続けてきたかということで、真の経営者の価値が決まるのではないかと思います」(稲盛和夫)

「経営に身を捧げる」とは素晴らしい言葉です。ここに強い思い、つまり経営理念があります。この言葉は、経営に対する強い思い、つまり経営観であり、経営者としての人生観でもあります。「経営に身を捧げる」「命をかけるくらいの責任感」という言葉からは、全身全霊で仕事にあたるという強い思い、命を使うという使命感を感じます。「寄らば切るぞ!」とでもいうような迫力を感じます。

「おつき合い」と称した夜の飲み会や○○クラブの活動に精を出す経営者の姿像とは違うものです。社会貢献と称して、会社の仕事よりも社外の役を引き受けて時間を浪費する姿とも違います。「命をかける」というのは、「この仕事のためなら死んでもいい」「仕事中に死ねるなら本望だ」「いつ死んでも悔いはない」という「決意」「覚悟」があるということです。

「働くとは何か?」という労働観を深く考えれば、人生観、死生観にまで至るのです。人生の大半を労働に費やすことになるのであれば、労働観、職業観と人生観が密接につながってきます。つまり、経営理念は人生理念と同じといえます。

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