経営と利益のレベル

利益のレベルを3段階で考えましょう。

(1)赤字
(2)収支が0円(いわゆる、収支トントン)
(3)黒字

松下幸之助氏が言ったように、(1)赤字は罪悪です。しかし、日本の企業の70.3%は赤字です(「平成24年度会社標本調査(法人企業の実態)」国税庁より)。こう見ると10社のうち7社が赤字で、松下幸之助氏の言う罪悪を犯しているのかもしれません。また、(2)収支が0円(いわゆる、収支トントン)という企業も多いと思います。

世界的に見ても高い実質法人税率(38%)のためという意見もあります。たとえば、「利益が出たなら税金で払うよりも社員にボーナスで払ってあげたい。そのほうが社員が幸せだから」という意見もあります。また、「税金を払うくらいなら、広告や販売促進、それに必要なもの、欲しかったものを買っちゃえ」という考え方もあるでしょう。まさに、ここに価値観、経営理念が現われています。

10億円の企業の経常利益が10%、1億円の利益が出るとした場合、おおざっぱにいうと、その半分の5000万円が税金となり、その残りの5000万円が会社の中に残ります。これが「内部留保」と呼ばれる、実際に会社が自由に使えるお金です。つまり、(3)黒字で税金を納めている状態でないと、自由に使えるお金が蓄積されていかないのです。ですから、(1)赤字、(2)収支が0円(いわゆる、収支トントン)の企業は内部留保がない状態です。

たとえば、リーマンショックのように突然の不況が訪れたり、重要な得意先がなくなったりした場合には売上が半分になるということも起こりえます。そうなると、内部留保のない、いつも①赤字か(2)収支が0円(いわゆる、収支トントン)の企業は社員に給与を払うことができません。それは「不況だから仕方がない」ことなのでしょうか?蓄えがないのは「やれなかったのか、やらなかったのか」どちらでしょうか?

そこに経営理念、考え方、信念が現われます。決して日本の税制の問題ではないのです。経営者の考え方一つなのだと思います。「何を言っているんだ、銀行から借りればいいじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、借りたお金は借りたものであって、自分のものではありません。つまり、それは会社の本当の実力ではないともいえます。利益が出ていないのに、「銀行から借りられるだけ借りておけ」と考えるのはリスクがあります。

ある日、お金が借りられなくなる、または借りているお金が返せなくなるという日が来れば、会社は倒産します。無借金でいることだけがいいともいいません。しかし、赤字の状態で実力以上の借入れをし続けて会社が良くなるわけがないことはわかってもらえると思います。借金をすることにも経営理念が必要なのです。

社員の物心両面の幸福を目指すのであれば、(3)黒字企業でなければいけないのです。どんなにきれいな経営理念を唱えても、黒字でなければ社員に給与を払うことができません。利益を出すことは悪いことのように世間では言われますが、決してそうではないのです。全社員が努力をして、成長をして、新しい価値を生み出すことは悪いことではありません。

そうではなく、努力もせずに、いつまでも同じ仕事だけをして、価値を生み出さずに、顧客からお金を奪うような仕事をすることは、罪悪なのだと思います。たしかに世の中には、既得権にあぐらをかいて、やるべきことをせずに上澄みをすくうような仕事をする組織もあります。しかし、会社の目的は世の中に貢献することです。

努力をして価値を生み、正々堂々と利益を出すことを貴ぶ価値観、考え方、経営理念をもって欲しいと思います。「常に新しい価値を創造しよう」「誇り高い仕事をしよう」「正々堂々と利益を出そう」といった経済的価値観を経営理念の中に持ってほしいのです

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