ダブルチェックの原則

銀行での多額の不正使用や、ある企業で経理の女性が一人で数億円の損失を出したというようなことが新聞に載っていることがあります。つまりそれは、ある意味ではその人を信じ、数字を任せはしたのですが、結果的に不正を働くという罪を作らせてしまったということになります。人間というものは弱いものであることを前提に、その間違いを防ぐのがダブルチェックといわれるものです。

ダブルチェックとは、Aさん一人、つまり、1人だけでお金を動かすということをしないような仕組みをつくり、2人でチェックするということです。ダブルチェックをするという数字に関する経営理念を持つということが不正を防ぐうえで大事になるのです。

身近な例として10人で居酒屋でコンパをしたとします。合計の会計が2万8500円だったとすれば、1人当たり2850円になります。この場合支出の2万8500円を10人で割ると、1人2850円の費用負担です。しかし、2850円ずつ集めるのが大変なので、1人当たり3000円ずつ集金をします。3000×10人=3万円が収入になります。そして、収入-支出=3万円-2万8500円=差額が1500円。これを10人で割ると、1人に150円ずつ戻すという会計になります。

数字の上で計算し、口で言うのは簡単なのですが、実際に酔ったときにさらに端数のある金額の計算を1人でやろうとすると、「あれ、おかしいな。ちょっと合わないな」というようなことがよく起こるのです。こういったことを回避するのがダブルチェックです。つまり、AさんとBさん2人で、そのお金を確認をすることによって間違いが防げるのです。支出がいくら収入がいくら、差額がいくら、1人当たりの払い戻しがいくらと、それぞれの数字を確認することによって過ちを防ぐことができます。

仮に本人に悪気がないとしても、一人でやったときに数字が間違っていれば、「ちょっとくらいいいだろう」とごまかすことになります。計算が合わなければ「お前、お金を自分の懐に入れただろう」と疑われてしまうこともあります。また、お金が不足していれば、「僕が黙って1000円多く払えば解決する」と善意ある人に負担をかけてしまうこともあるのです。こういったことを防ぐために、誰かにしわ寄せがいかないようにダブルチェックが必要となります。

この例は、たかがコンパの席のことではあるのですが、会社に置き換えると売上が10億円、100億円、1000億円と大きくなれば、そのしわ寄せは1000円や2000円では済まなくなり、1000万円、1億円、2億円という金額になってしまうのです。そうならないように、小さな一つひとつのダブルチェックが必要といえるのです。

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