経営理念を考えるヒント 生まれ育ちを知る

いつ、どこで生まれ、どんな親兄弟に育てられたかは世界中の全員が違っている

生まれ育ちの話自己紹介ではよく、生まれ育ちを話します。私は、1962年埼玉県熊谷市で、三人兄弟の末っ子として生まれました。父は洋服屋をしていました。祖父は山口県の出身でお寺のお坊さんの家系だったようです。母は群馬県の出身で、代々続く商人の家の長女として生まれました。

ここでは何がいいたいかというと、自分の生まれ育ちをもう一度見直してみて欲しいということなのです。誰にでも、もちろんあなたにも、私と同じように両親がいて生まれ育ちがあります。当たり前のことなのですが、それを一度振り返ってみると自分自身について理解することができます。経営理念をつくる当事者としての自分をよく理解しておいてほしいのです。

経営理念とは、考え方、信念です。その考え方、信念とはどこから出てくるかというと、もちろん本人の考え方なのですが、それは生まれ育ち、環境などに大きく影響されます。日本に生まれ両親が日本語で話すから、自分も日本語を話しますが、同じ人でも両親のどちらかがアメリカ人でアメリカで育てば英語を話すようになります。

【質問】あなたはいつ、どこで生まれましたか?何人兄弟の何番目ですか?両親はどんな仕事をしていましたか?両親はどんな人で、どんな家庭で育てられましたか?

ここでのポイントは、次のようになります。
(1)いつ
(2)どこ
(3)兄弟
(4)親の仕事
(5)どんな家庭

(1)いつ
高度経済成長期に20代を過ごした人と、失われた10年といわれる1990年代に20代を過ごした人とでは、経済や社会に対する見方が違ってきます。あなたは、いつ生まれ、人生に目覚める15歳から20歳の頃、世の中では何が起こっていましたか?

(2)どこ
東京、大阪、名古屋、京都、札幌、福岡、それぞれの都市で生まれた人はそこの地域の言葉や文化、食べ物、産業によって価値観、考え方が変わってきます。

大阪の人は「お笑い」や「たこやき」の中で育ち、京都の人は「おばんざい」や「世界遺産」の中で育ちます。さらに、同じ東京でも育った地域によって言葉や価値観が違います。江戸っ子と呼ばれる下町出身の人と、山の手のちょっと品がいい地域出身の人では価値観が違うでしょう。あなたはどこで生まれ、育ったのでしょう?

(3)兄弟
一人っ子なのか、二人兄弟なのか、三人兄弟なのかで考え方が変わってきます。それも三人兄弟なら何番目なのか、また男女の構成でも違ってきます。男三人兄弟の長男と、長女、次女がいる末っ子の男では同じ男でも考え方が違ってくるものです。男三人で暴れまわって育った長男であれば、男っぽい、「オレについてこい!」という考え方が、経営理念になっていくでしょう。

一方、上に二人、年齢も離れた姉妹がいる中で育ったなら、「オレについてこい!」というよりも、「これ、こんなふうにやったらどうかな・・・ん?」という調整型、合議型を重視する経営理念になるのではないでしょうか?もちろん、これがあっているとはいえませんが、少なくとも兄弟の構成が「私、弟、弟」という場合と「姉、姉、私」の場合では人に対する考え方が違ってくることは間違いないと思います。

あなたが長男なら、長男として扱われ、生きることはあなたにとって当たり前なのですが、他の人にとってはまったく当り前ではないのです。このことに気づいてほしいのです。

(4)親の仕事
父親はどんな仕事をしていたのか?は、自分の人生をつくるうえで大きな影響があると思います。商人、公務員、サラリーマンなどいくつもの選択肢がありますが、特に商売をしていたかどうかは一つの大きなポイントとなります。父が家で商売をするのを毎日見ていた、いつかは自分も商売をしようと思っていた、という経営者の話をよく聞きます。母は父を手伝って一緒に仕事をしていた、という商人の一家の例があります。

また、父はサラリーマンだったが、おじが会社をしていてよく遊びに行ったという例もあります。一方、父も母も学校の先生で小さいときは経営者になるなんて全く思ってもみなかった、という商売とあまり関係がなかったにもかかわらず社長になったという例もあります。あなたは、どんな仕事を見てきましたか?

(5)どんな家庭
お父さんが家の中では一番偉かったという家庭もあれば、お母さんがとてもしっかりして家の中を切り盛りしていたという家庭もあるでしょう。また、お父さんはいつも、いつも「三方よしの商売が大切だ」といっていたという「言葉」や「考え方」の影響もあるかもしれません。お父さんは忙しかったので、おじいちゃんとおばあちゃんに遊んでもらったという人もいるでしょう。また、両親が共働きでよく一人で遊んでいたという人もいるかもしれません。

日本では1991年には、お父さんが働きお母さんは専業主婦という世帯と、お父さんもお母さんも働く共働きの世帯がほぼ同じ数になり、その後は共働き世帯の数が多くなっています。「男女共同参画白書」(内閣府データ)による)

あなたの家庭はどんな家庭でしたか?家ではどんな「言葉」をよく話していたのでしょう?こういった事柄について自分自身を振り返ってみてほしいのです。人生は十人十色、百人百様、千差万別です。まったく同じ人生はありえません。したがって、経営理念、つまり考え方がまったく同じになるということもありえないのです。

誰でも自分だけの人生を歩んでいます。経営理念をつくるには人の経営理念を参考にするのですが、最後の最後は自分の人生を反映させるのです。だから、自分の会社の独自のものとなります。そのことを、このプロセスで感じて頂きたいと思います。なぜなら、あなたの歩く道は、世界中の誰も歩かないあなただけの道だからです。

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