経営理念は変えてもいいのか?

【質問】経営理念は変えてもいいでしょうか?

こう聞かれたら、あなたは何と答えるでしょうか?

「先代の社長の経営理念があるのですが、私が社長になって経営理念を変えていいものかどうか悩んでいます」「去年、経営理念をつくったのですが、どうもしっくりこなくて経営理念をつくりなおそうかと思っているのですが......」このような人によくお会いします。

答えは、「経営理念は変えてもいい」です。理由は、社長が交代すれば社長の人格も変わるので、当然、経営理念=考え方、信念が変わるからです。しかし、自社の経営理念の最も根本的な部分については変えないでください。たとえば、「社員を幸せにし、社会に貢献する」という経営をするうえでの根本の部分は変えないようにする。また、「この事業(食品業)を通じて○○する」といった事業の根幹の部分は不変かと思います。

一方では、経営理念を変えたほうがいい場合も多いはずです。たとえば、経営理念の中の社是が3つあるが2つ追加して5つにしたい、創業の精神を書きたしたい、ここの部分はなくしたい、「~で~すべし」を「~で~しよう」に変えたいなどはあってしかるべきです。ですから、経営理念の中で変えたほうがいいものは変える勇気をもって変えていってください。

経営理念を深く考え始めると、あれも足したいこれも足したいとなるはずです。いや、これでは言っていることに整合性が取れないのでこれは削ろうと、修正したくもなります。それでいいのだと思います。そういった文章を練り直すことに意味があるのです。

論文を書いた後に文章を推敲するのと同じように、経営理念を書いた後に経営理念を推敲するのです。何度も書いては直し、書いては直す。そのことによってはじめて経営理念に厚みが出ます。1日でちょろっとつくろうというのでは、ちょっと虫がよすぎるのかもしれません。たしかに1日でつくり上げるという方法もあります。

いつまでも考えていては前に進みませんから、まず、つくり上げる。これは大切なことです。しかし、それだけで終わってはいけません。それでは、自分のものになっていないからです。一度つくり上げたとしても、そのつくった経営理念を何度も何度も口に出してみる。口に出してみると、なんとなくこの言葉はおかしいとか、しっくりこないという部分があるものです。そういった部分を加筆・修正しながらよりよいものにしていってください。

経営理念をつくる人の文章力やもともとの信念にもよりますが、平均でも30~50回は修正することになるのではないでしょうか?多い人だと100回以上直したという人もいるようです。こうなると、「経営理念は変えてもいいのか?」というより、「何度変えたら本当の自分の経営理念になるのか?」という質問のほうが正しい問いといえるのかもしれません。

寝ても覚めても経営理念のことを考えている、集中して考える期間が3か月。その後、つくり込むのに1年。修正しながらバージョンアップして社内に浸透させてゆくのに3年はかかると思っておくくらいで、ちょうどいいかと思います。

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