経営理念を行動にうつす

経営理念はつくっただけでは意味はありません。経営理念は実践しなければ「ない」のと同じです。自動車を買っても乗らなければ、持っていないのと同じ。知識を学んでも使わなければ知らないのと同じなのです。理念、理念と唱えていても何も変わりません。理念を行動に移すことが大切です。具体的にどうしたらいいのか、そのヒントをいまからお話しします。

(1)「ニコ、キビ、ハキ」
これは、まったくゼロから一部上場企業をつくった『カレーハウスCoCo壱番屋』の宗次德二氏が、会社の社是として挙げているものです。「ニコ、キビ、ハキ」とは、「ニコニコ、キビキビ、ハキハキ」の略です。

「ニコニコする、キビキビ動く、ハキハキ答える」ということです。この言葉は誰が聞いても嫌な感じがしません。一方、この逆は、「ブスッとした顔をする、グズグズする、グダグダする」といったものになります。なんかいやな感じですよね。

ニコニコとは顔の表情であり、キビキビとは体全体の動きであり、ハキハキとはその人の言葉使いであり、体の雰囲気を表わします。つまり、カレーショップという接客業をするのであれば、そういった行動が大事なのだ、ということを理念として伝えているわけです。これであれば、誰が聞いても賛同でき、誰が聞いても具体的にすぐ行動に移れると経営理念といえます。

(2)「時を守り、場を清め、礼を正す」
これは、日本を代表する教育者といわれる森信三先生の言葉です。

一つ目の「時を守り」は、時間を守るということです。たとえば、人とのアポイントや会議の時間に、必ず5分前に行く、5分前に待っている行動です。

営業の訪問を例にとってみましょう。多くの場合、訪問する側というのは失礼がないように、遅れてはいけないと思い5分前または10分前に訪問先に着いているものです。相手に敬意を表し、ものを買ってもらいたいと思っているわけです。

一方で、その訪問を受ける側は、相手が来てくれるのだから、自分は時間ギリギリまで仕事をしていればいいやという心がどこかに働き、訪問した人を待たせることが実際にはよくあるものなのです。そして立場が高くなり、いつも自分の事務所に相手が来訪をしてくれるようになると、少しくらい人を待たせてもなんとも感じなくなるものです。

そういった弱い心を理念というもので縛り、自分自身を律してゆくことが大切です。たとえば、相手が訪問してくれるときにはその人がエレベーターで上がって来るのをエレベーターの前で待つ。5分前に待っているというような行動をとることこそが、「時を守り」という行動につながります。相手が1時間かけて来訪してくれることを考えれば、ある意味、当然の行為ともいえます。

二つ目の「場を清め」とは、掃除をすることともいえます。しかし、ただ単にチョロッと掃除をするというものではなく、毎朝、自分が使う机の上を熱心に雑巾がけをしているようなイメージです。「机の上はいつもきれいさっぱり何も置いていない、あるのは電話だけ」というような整理整頓された状態です。

その範囲は自分の机だけではなく、両隣の人、または自分のフロア、そして会社全体、さらに会社の周り 100m、500mと、場を清める範囲を広げる。広げるという行動をとることが、会社を良くしていくという理念を実現しているともいえるわけです。日本中の会社が自分の会社の周り100mをきれいにするようになったらば、日本はきれいな国家になっているはずです。

三つ目の「礼を正す」とは、「挨拶をする」「返事をする」といったことです。「朝の挨拶人より先に」この一つだけでも一生続けられたらそれはもう立派です。その挨拶をする範囲も、職場で自分の上司だけではなく、同僚であり、自分のメンバーです。

そして同じビルの他の会社の人や、朝、家を出た時に会う人とその範囲が広がることによって、その理念と行動がより高いレベルになってゆくのだと思います。返事とは、相手に聞こえる気持のいい「はい!」です。返事をするといっても、本人は言ったつもりでも相手に届かない、相手が聞こえないといった場合があります。そうではなく、必ず相手に対して気持ちのいい返事をすると気をつける。

これだけでも立派な経営理念、行動の指針となるはずです。この「時を守り、場を清め、礼を正す」という言葉は「職場再建の三大原則」と森信三先生が述べているものです。参考にしてください。

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