株式会社オロ

坂上:まず会社名とお名前、事業内容や会社の規模について伺わせてください。

川田社長:株式会社・オロの川田です。
事業内容は、大企業を対象に、インターネットを中心としたマーケティングの戦略立案、構築、運用支援。もうひとつは、中小の成長企業を中心に、クラウドでのERP、統合業務システムを提供しています。前期の売上が24億、経常利益が2億4,000万で、利益率が10%です。毎年20%の継続的な成長を目指しています。従業員数は海外の拠点合わせて300名ほどです。

坂上:次に社長様のプロフィールをお伺いします。お歳やこれまでの経歴をお聞かせ下さい。

川田社長:41歳、現在の会社を創業して15年になります。キャリアというか勤めた経験はないので、この会社1社です。

坂上:ご自身が創業社長だということですが、起業しようと思われた経緯をお聞かせください。

川田社長:経営者が多い家系で育ったので、幼少期から「将来的には会社経営をやっていきたい」というのをすり込まれていました。縁あってソニーの創業者である、盛田昭夫さんと井深大さんの本を読ませていただいて、創業の立派な経営者の方々に感銘を受けたことが大きかったと思います。

坂上:一番影響を受けた本は?

川田社長:大学時代に影響を受けたのは、ソニーの社内で配られた、お二方の創業について書かれた二冊の本です。それに一番感銘を受け、起業のきっかけになりました。その後も立派な創業経営者の本でずいぶん勉強させていただきました。

坂上:ご親族のことについて教えてください。

川田社長:父は創業した会社の二代目をやっておりまして、親族には、建設メーカーや部品製造業などの経営をしていたり、個人で開業していたりという方が多かったです。建設業で比較的中堅の会社には、親族同士で一緒に同族経営のようなことをやっている会社もありました。

坂上:事業としては建設業ですか?

川田社長:父は小売りです。

坂上:物をつくる事業をされている方を身近に感じていたということですね?

川田社長:そうですね。

坂上:経営理念をつくるきっかけは?

川田社長:本質的に、経営理念をつくるべきだというのは成功した経営者の方々の書籍から学び、気付いてはいました。私は友人と会社を始めていますので、将来仲違いしないようにするために、会社の目標・目的をしっかり定めて、個人の都合ではなく、その目標・目的に合意してがんばろうと思ったことが、経営理念をつくるきっかけになりました。

坂上:それは過去に読まれた本、会われた方の中で、仲が良くて二人ではじめたとしても、うまくいかない会社などを知ったり見たりした、というきっかけがあったということですね?

川田社長:そうですね。

坂上:理念をつくる中で気づいたことはありますか?

川田社長:人それぞれ目指しているものや目標は大きく違うので、それを創業初期のメンバーですり合わせてつくりました。「世界に誇れるような製品やサービスをつくりたい」「自分たちの生み出したものをより多くの人に使ってもらいたい」ということを、大半の技術者は志として持っていますね。

私としてはこの志を通して、「世の中をより良くしたい」「社員や関連する人々、幸せにしてあげられる人の絶対数を増やしていきたい」という思いがありました。技術者からすると、従業員を増やすことは目的ではないですが、私の目標と彼ら技術者の目標とが二つあって、それをお互いに理解することができ、どちらも正しいと感じていますので、いいんじゃないかと思っています。

坂上:そこからより多くの人に考え方が動いていったんですか?

川田社長:もともと創業初期から「より多くの人を幸せにしたい」と思っていました。個人で得られる幸せは有限で達成しやすいという印象があり、自分の人生目標をそのような有限なところに設定したくはないという気持ちもありました。

坂上:それは限られた人生の中でより高い目標を目指していきたいという気持ちが強かったということなんでしょうか?

川田社長:そうですね。単純にいい暮らしをしたいなら、大企業に勤めてもよかったですし、親の事業を継いでもよかったでしょう。それを選ばずに自分でゼロからスタートしていくことは、その選択肢以上の達成目標がないと見いだせないですね。

坂上:経営理念をつくる工夫は?経営理念は必要だと思いますか?

川田社長:理念を作ることはそんなに大変ではありませんでした。20~30人の会社だったら経営理念はなくてもいいと思います。マンツーマンでコミュニケーションが取れていれば、社長の思いが伝わりやすいですからね。人数が増えるとコミュニケーションの時間も減ってきますし、会社とのベクトルと合っているのかを理解するために、経営理念は必要だと思います。経営理念という明確な言葉になっていなくても、社長の思いは身近な人には伝わると思います。社員が20~30人でも、そういった経営理念に近いことを話す機会は必要ですよね。自分達は何を目指しているのか、どうしてこういう判断をしているのかを、ちゃんと理解した上で仕事をすることが大切だと考えています。

坂上:人数が多くなってくると意思が伝わらないのが怖いとか、伝えていきたいという感じですか?

川田社長:実際はちゃんと明文化することによって、自分が誤ったミスジャッジをしそうになった時に現場の社員メンバーから、「経営理念を軸に考えたら、その判断はおかしいんじゃないか」と、時には言ってもらえるような、そういうツールとして使えたらいいなと思っています。

坂上:経営理念をつくったときの苦労は?

川田社長:あまり苦労はないですね。例えば起業の時に「貧しい暮らしから脱却したい」という欲で起業した人たちは経営理念がなく、がむしゃらに走って気づいて経営理念に行きつくのだと思います。もしくは、すごいアイディアで製品やサービスをスタートして、急激に伸びた人たちが経営理念を作るとしたら、苦労すると思いますが、私はそのどちらでもありませんので、作る上であまり苦労はなかったです。自分の中の思いを単純に整理して言葉にしたという感覚です。もちろん、世界的な会社にしていきたいということは思っていましたし、言葉でも伝えていましたから、経営理念を明文化する時にはそういったことをちゃんと入れていこうと思いました。

坂上:経営理念ができあがったのは創業して何年目ぐらいですか?

川田社長:3年目ぐらいです。その間はがむしゃらに働くしかなかったので、経営理念やかっこいい目標なんて言っていられませんでした。ちょっとゆとりが出てきて、考えられる余裕ができたからかもしれません。

坂上:最終的にできあがった日が仮に3年目だとすると、作成期間はどのくらいですか?

川田社長:1~2日で書き出し、作成しました。

坂上:経営理念といわれる判断基準とか目指すものは必要でしょうか?

川田社長:私たちには必要ですね。

坂上:経営理念と業績の関係は?

川田社長:経営理念があれば業績が伸びるわけではないですが、ないと伸びないと思います。あるだけでは伸びないですね。必要だけど十分ではないです。

坂上:経営理念を作ったのは、創業の頃から思いがあって、3年後ぐらい。少し仕事が落ち着いた頃に作り上げた感じですね。どこで作ったかというのは、外部ではなく自分の中ですか?

川田社長:そうです、もちろん。

坂上:誰がというと、外部を使ってとか社内の誰かとかあるんですか?

川田社長:当時6~8人の社員がおり、その中のコアメンバー4、5人でお互いに話を聞いて、私がまとめて作りました。

坂上:社長がつくる部分と、社員が関わる部分の比率はどうでしたか?

川田社長:単純に、「将来どういうことをやりたいのか」、「この会社で何が達成できれば人生として悔いがないのか」をメンバーに聞いて、それがうまくまとまるように組み合わせて作りました。言葉自体は私が作りましたが、意味はそれぞれのメンバーの意向を汲んでいます。

坂上:何を入れたのかというところで、価値観、これだけは譲れなかったキーワードはありましたか?

川田社長:3つ要素があります。「世界的なグローバルカンパニーをつくることを目標に掲げよう」、「悪いことはやらないように、人が喜ぶような方向でいいことをやろう」、そして、「社員全員の自己実現を達成しよう」、この3つを単純に入れただけなのですが、この3つがすべてです。

坂上:作成に苦労した方の場合は、時間がかかったりがあるんですけど、ご自身の場合は、ほぼ1日という感じですよね?

川田社長:はい、1~2日程度で完成しました。

坂上:なぜつくったのかというと、判断基準や思い、方向性などを伝えたいということになりますか?

川田社長:せっかく友人と一緒に始めた会社なので、将来もずっと一緒にやっていきたいという思いがきっかけになったと思います。

坂上:作成に要した費用は?

川田社長:タダです。

オロの目標
社員全員が世界に誇れる物(組織・製品・サービス)を創造し、より多くの人々(同僚・家族・取引先・株主・社会)に対してより多くの「幸せ・喜び」を提供する企業となる。
そのための努力を通じて社員全員の自己実現を達成する。

坂上:基本活動指針が12あるんですが、この部分までもう3年目には全部できあがっていたんですか?

川田社長:違います。3年目はゴールの部分だけですね。

坂上:ここから先に進化したのは何年目?

川田社長:正確な記憶はないですが、これは当時流行っていたリッツカールトンのクレドに影響を受けて、「こういう行動指針を作ろう」ということでまとまりました。

坂上:3年目のものから、今手元にあるものまで1、2回ですか?

川田社長:少なくとも4回は細かくマイナーバージョンアップをしており、経営理念も若干改定されています。作成当時、例えばカッコ内の「製品・サービス...」という部分は「技術的製品」となっていて、ザ・エンジニアという目線の表現でした。

坂上:そこから視野が広がったというか?

川田社長:メンバーが増えていますので、少しずつ変化していきました。

坂上:経営理念を浸透させる工夫をお聞かせ下さい。

川田社長:基本的にミーティングの冒頭には、必ず私の口からゴールの部分について話をしています。

坂上:時間的には?

川田社長:ミーティング全体の中でいうと短い時間ですが、私が作る資料の1ページ目は毎回必ず経営理念からスタートします。全社員に話すミーティングは年に2、3回ありますが、幹部研修であっても必ず私の資料の最初にそれを入れています。また、経営理念や基本行動指針などを載せたツールをつくって、全社員に配布し携帯させるようにしています。

坂上:朝礼とか、定期的な勉強会とか、会社ごとにいろいろありますが、そのあたりはどんな感じですか?

川田社長:朝礼では、ゴールよりは基本活動指針の中から1項目を選び、交替で読み上げるということをしています。

坂上:全員でやるんですか、それともグループごとにやるんですか?

川田社長:朝礼は拠点ごとに行っており、東京本社だと100人を超えるメンバーが集まって行います。毎朝1人が1項目を読み上げて、それに関わることをコメントするだけです。1人3分といったところではないでしょうか。

坂上:それは海外でもやってらっしゃる?

川田社長:海外でも行っています。

坂上:他に何か定期的な勉強会とか?

川田社長:あとはそんなにないですね。最近は教育研修の一環として、たくさんカリキュラムがある中の1つに、「オロの理念」というプログラムを入れています。

坂上:カリキュラムというのはどのようなものですか?

川田社長:他には、例えばライティングやロジカルシンキングなどがあります。そういったものの中の1つです。

坂上:項目数としてはどのくらいあるんですか?

川田社長:15から20の間ですね。

坂上:年間どのくらいの時間数でやるんでしょう?

川田社長:十数種類あるプログラムのうち、年間で1人1つ選びます。今年、「オロの理念」に参加しているメンバーに関しては、2か月に1回、約2時間ずつなので、年間で約12時間ですね。

坂上:経営理念の完成度合、満足度の点数と浸透度の点数は?

川田社長:満足はしているので、90点は超えているんじゃないかと思います。浸透度という意味でも90点を超えていると感じています。それが守られているかは別として、ミーティングで話をすることで耳にする機会が増え、意識を向けるきっかけにもなっていると思います。とはいっても、中途採用も含めて、新しく入ってくるメンバーがたくさんいますので、浸透にはたぶん時間がかかりますね。個人の勤続年数に比例して浸透度が上がっているとは思います。長くいれば浸透していくので焦ってはいません。

坂上:いま新卒は何人くらい?

川田社長:二十数名です。

坂上:新卒だと入ってきた会社がオロさんなので、中途の方だと考え方のところで難しさも一部ありますよね。そのあたりどうでしょうか。

川田社長:毎日、朝礼で話をするということに一瞬違和感があるかもしれないですが、一カ月もいたら違和感はなくなるんじゃないかなと思っています。クセのない経営理念なので、基本的に反対する要素はないですからね。

坂上:反対する要素がないというのは、言い換えるとどういう感じですか?

川田社長:「それ違うんじゃないですか」という項目がないんですよね。信頼関係の構築、感謝の気持ち、プラス思考、あきらめない、反省と改善、成長の幸せ、謙虚に行動、批判ではなく改善提案、利害のベクトルを合わせる、利益報酬について、常にナンバーワンを目指す、といった項目に、反対要素は見当たりません。

坂上:人生の大事なエッセンスを自分の言葉で心の中に落としていったというイメージですか?

川田社長:経営者だけではなくて、世の中の成功されている方々は、たいてい同じことをおっしゃっています。日々過ごしているとそういったことを忘れがちなので、それを忘れないようにしているだけです。特別なすごいものを考えたわけではないですから。

坂上:個人の価値観と経営理念の関係は?

川田社長:変わったことは書いてないのでズレようがないですし、どちらかというと忘れそうになることばかりです。日々、普通に一日を生きてしまうと、うっかり頭から離れてしまうようなことが多いですよね。すごくできている人もたくさんいます。感謝の気持ちを常に持っている人もたくさんいますが、中にはうっかり忘れてしまう人もいますので、そういったところではないでしょうか。

坂上:人それぞれの価値観や考え方、例えば純粋さ、謙虚さ、努力とか、いろんなキーワードがあって、優先順位をつけていくと思うんですが、ここの中にあるもの以外にも、社員が、「もっとこっちが大事じゃないか」という人がいるかもしれないですが?

川田社長:けっこう大雑把に書いてありますが、どれも優先順位は高いと思います。この12項目の基本活動指針のうち、どれがもっとも大切ですかと言われると難しい質問ですが、ここに網羅されていない価値観があって、いいものであれば項目を変更したり、追加したりして組み込むべきだと思っています。

坂上:経済観、社会観、人間観、倫理観に分けると、大事にしていきたいところはどのあたりですか?

川田社長:その辺りはバランスが大切ですので、特に何かを追求して、何かをおろそかにしてはいけないものだと思います。

坂上:これから先目指すものや、仮に100人くらいの経営者がいるとして「何かメッセージを」と言われたらどんな感じでしょう?

川田社長:その中に書かれていない項目ではありますが、「思いは実現する」という思いの強さでしょうか。それがすごく大事だと思います。経営者にとって「自分達の会社をどうしたいのか」を考えることは一番大切で、思い続けるからこそ本当にその通りになる確率が高くなるのだと考えています。私はこれからも、直立に継続成長を続けていきたいと強く思っていますし、そのための努力を一生懸命しようと強く思っています。それをちゃんと思っていられる間はきっと継続成長できるでしょう。

成長が続かなくなった時は、私がそれを思わなくなった時。万一、そんな時がくるようであれば、私が退任しなきゃいけないタイミングなのでしょう。経営理念を達成するためにはそれも必要、ということですね。私が経営理念の達成を考えなくなった瞬間に、それを目標として掲げている会社で、私が代表をしていてはいけないんですよね。とても高い意識をもって、ちゃんと考えて一生懸命やってくれている社員が出てきてくれているので、そういった社員たちの方が私よりよっぽどふさわしいということにならないように、自分がリードできる側にいなきゃいけないと感じています。

坂上:社員の方が自律性というか、そういうふうになってきてくれたなと実感したのは、何年目ぐらいからでしたか?

川田社長:そのような自然性の人は、100人に1人ずつ入って来るような感覚で、そんなに多くはいないです。でも、そういった人はパワーを持って周りの人を巻き込んで変えていき、そこで変われた人がまた引っ張っていくという連鎖反応が一番いいと思いますので、時間はかかるかもしれません。経営理念を掲げて、「こういうことをやっている」という意思統一ができると、ある程度の規模になっても引っ張っていきやすいですよね。皆それを求めていても、苦労するのはその部分ではないでしょうか。

坂上:「人間は魂なんだ」という思想がありますが、「人ってなんだろう」と考えるところはありますか?

川田社長:まだ勉強中という感じです。塾長がおっしゃっていることに、私は非常に感銘を受けますし、過去の偉大な方々は皆同じようなことを唱えていらっしゃるので、それはきっと正しいことなのだと思います。どの宗教もすばらしい考えを持っていると思いますし、例えば「生きるとは何なのか」ということに、まだ自分の確立した答えとしては固まりきっていないですが、向こう10年ぐらいで固まってくるといいなと思います。

坂上:魂という表現についてはどうでしょうか?

川田社長:私も元々理系で、非常にロジカルな考えを持っていますので、物理的な話と精神世界の話が、すごく密接で表裏一体の関係であるということも、なんとなく理解しはじめています。ロジカルに説明のつくことが多いと思います。例えば、運が良い人というのはそれまでの行動の中で、運の良くなる要素をつくっていますし、一瞬一瞬の行動一つをとっても、結果がよくなる判断ができる能力をもっているので、それをもって運が良いと言うこともできます。ポジティブに物事を考えられたり、周りの人たちに対して常に提供側に回っていたりすると、何か困ったことがあっても手を差し伸べてくれる人が多いですよね。

自分のなりたい方向性や思いを周りに話しておけば、手伝ってくれる人やきっかけに出会えます。「あいつはついている」というのは、ついている理由になる行動や考え方があるのだと思います。

坂上:原因と結果ですよね?

川田社長:そうですね。そういう意味でいうとロジカルですけれど、それを含めて運の良し悪しはありますよね。

坂上:物理的な領域と精神的な領域という因果の法則があるんじゃないかということですよね?

川田社長:そうだと思います。

坂上:ありがとうございました。

経営理念
社員全員が世界に誇れる物(組織・製品・サービス)を創造し、より多くの人々(同僚・家族・取引先・株主・社会)に対してより多くの「幸せ・喜び」を提供する企業となる。
そのための努力を通じて社員全員の自己実現を達成する。

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